私が物流で起業した本当の理由
株式会社LINGs 代表取締役・川中子輝昂が、なぜ軽貨物・ラストワンマイル配送の事業を選んだのかを語る。起業の原点にあったのは、物流そのものではなく「ヒトの可能性を広げたい」という思いだった。
文:代表取締役 川中子 輝昂

私が軽貨物・ラストワンマイル配送の事業で起業した理由を一言で言うなら、やりたかったのは物流そのものではなく、人の可能性を拡げることだったからです。もちろん、物流は社会に欠かせない大切な仕事です。ですが、私の出発点にあったのは「荷物を運びたい」という思いだけではありませんでした。
私自身、これまでの環境や出会い、そして経営という仕事を通して、自分の見えている世界が大きく変わっていく感覚を何度も経験してきました。人は、能力が最初から決まっているわけではない。どんな場所に身を置き、誰と関わり、どんな機会を与えられるかで、想像以上に変わっていける。そう実感したからこそ、次は自分がその環境をつくる側に回りたいと考えるようになりました。
原点にあったのは「事業」より「人」だった
起業を考えたとき、私の中で最初にあったのは「どの業界なら儲かるか」という発想ではありませんでした。もちろん経営である以上、事業として成立することは大前提です。ただ、それ以上に大事だったのは、この事業を通してどれだけ多くの人に挑戦の機会をつくれるかでした。
自分自身を振り返っても、可能性が拡がった瞬間には必ず環境の変化がありました。新しい役割を任されたこと、期待してくれる人がいたこと、今までの自分では届かなかった景色に触れたこと。そうした積み重ねが、人を前に進ませます。だから私は、単に仕事を提供するのではなく、人が変わるきっかけになる事業をつくりたいと思いました。
私がやりたかったのは物流ではなく、人の可能性を拡げることです。

可能性は、環境と出会いで大きく変わる
私は、人の成長は本人の意思だけで完結するものではないと考えています。もちろん、最後に一歩を踏み出すのは本人です。ただ、その一歩を踏み出しやすくするのは環境です。挑戦してもいいと思える空気、未経験でも受け入れられる入口、頑張りが次につながる実感。そうした条件が揃うと、人は驚くほど変わります。
特に若い世代や、これから何かを始めたい人にとっては、「最初のチャンス」があるかどうかが大きい。経験がない、学歴に自信がない、今の仕事に将来性を感じられない。そうした不安を抱える人でも、挑戦できる場があれば人生は動き出します。私は、そうした場をつくること自体に大きな価値があると感じてきました。
だからこそ、事業を選ぶ基準も明確でした。限られた人だけが入れる世界ではなく、できるだけ多くの人に門戸が開かれていて、努力次第で成長の幅を広げられること。その条件に合うフィールドを探し続けた結果、ラストワンマイル業界にたどり着きました。
ラストワンマイルは挑戦者を生み出せる業界だった
軽貨物・ラストワンマイル配送の仕事には、社会に必要とされ続ける土台があります。ECの拡大に伴って、荷物を確実に届ける役割の重要性はますます高まっています。その一方で、この業界にはまだまだ改善の余地があり、働き方やキャリアのつくり方にも新しい可能性があると感じました。
私がこの業界に魅力を感じたのは、単に需要があるからではありません。未経験からでも挑戦しやすく、現場での経験がそのまま成長につながりやすいからです。目の前の仕事に真剣に向き合うことが信頼になり、信頼が次の仕事や次の役割につながっていく。努力が比較的まっすぐ結果に結びつきやすい業界だと思いました。
さらに、ラストワンマイルは現場だけで完結しません。配送品質、採用、教育、車両、荷主対応、仕組みづくりなど、多くの役割があります。つまり、一人のドライバーとして始めた人が、将来的により広い視点を持ち、事業を担う側に成長していく余地がある。私はそこに、「挑戦者を生み出せる業界」としての大きな可能性を見ました。

物流を変えたいのではなく、業界の見え方を変えたい
ラストワンマイル業界は、社会インフラとして非常に重要である一方で、その価値が十分に伝わっていない場面もあると感じています。大変さばかりが注目され、そこで働く人の成長や誇り、サービスとしての奥深さが見えにくいことも少なくありません。
私は、この業界を「ただ荷物を運ぶ仕事」としてではなく、人の可能性が拡がる仕事として捉え直したいと思っています。お客様に荷物を届けることはもちろん大切です。しかしその裏側には、接客力、責任感、継続力、現場対応力といった、社会で通用する力が確かに育っています。実際、LINGs(株式会社LINGs)でも、元販売職や営業職などさまざまな背景を持つ仲間が活躍しています。
この仕事を通して、自信をつける人がいる。働き方を見直し、人生を立て直す人がいる。さらにその先で、仲間を支える立場や事業をつくる立場を目指す人もいる。そうした連鎖が生まれるなら、物流の価値そのものだけでなく、業界の見え方も変えていけるはずです。
LINGsでつくりたいのは、可能性が連鎖する環境
私がLINGs(株式会社LINGs)で目指しているのは、単に配送会社として成長することだけではありません。関わる人それぞれの可能性が拡がり、その変化がまた次の誰かの挑戦を後押しする。そんな環境をつくることです。荷主様にとっては安心して任せられるパートナーであり、ドライバーにとっては挑戦の入口であり、仲間にとっては成長の土台であること。そのすべてがつながってこそ、意味のある事業になると考えています。
そのために私たちは、配送の品質だけでなく、人が活躍し続けられる仕組みや、挑戦しやすい土壌を大切にしています。ラストワンマイル業界を変革し、関わる全ての人の可能性を拡げるというVisionも、きれいごとではなく、私自身の原体験から生まれた言葉です。
もし今、これから新しい一歩を踏み出したいと考えている人がいるなら、私はこの業界に十分な可能性があると伝えたいです。荷主様にも、ただ荷物を運ぶ会社ではなく、人を育て、現場を磨き、長く価値を出し続ける会社と組む意味を感じていただきたい。そして仲間には、ここを自分の可能性を狭める場所ではなく、拡げる場所にしてほしい。私はその環境を、これからも本気でつくり続けます。
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